家具のリフォームブログ
アイリス チェア張替えと木部修理 K様邸
「実家で使っていた家具を今の自宅でも使いたい」とK様からご相談をいただきました。家具のあるK様のご実家に生地のサンプルをお持ちしてお話をお伺いしたところ「もっとモダンな感じの家具にしたい」というご希望がありました。ただその日はクラシック調の生地ばかりお持ちしていたので、後日改めてご提案することになりました。
この時「長くお使いいただいている家具=クラシック調」という思い込みが私の中にあったことに気が付き、深く反省しました。
K様から「生地が張ってあるほうがイメージが掴みやすそう」というご連絡をいただき、弊社ショップまでお越しいただきました。
アイリスというチェアはクラシック調の装飾などがないため、生地によってイメージが大きく変わります。無地の生地にされることで、お客様が希望するモダンなイメージになるのではないかと感じました。
今回のチェアには、マルニ中期の「クジャクマーク」のステッカーが見られました。この「クジャクマーク」が付いている家具は「オールドマルニ」と呼ばれ、ヴィンテージ家具好きの方からも人気がある、長く愛されている商品のひとつです。K様にも今回を機により一層愛着をお持ちいただけるよう、工場の職人と共にご希望に添う素敵なリフォームにしようと改めて思いました。
弊社のマークの変遷については以前の記事でご紹介しています。
ロゴマークの変遷 - マルニ木工 公式サイト
木部もモダンな印象に近づけます。塗装を剥がし、着色せず、無着色のクリア塗装を施すことで、塗色で消えてしまっていた木目がはっきりと見えるようになりました。
塗装されている木部から、素地を生かした仕上げにするためには、木目と木目の奥に入り込んだ塗装まで磨き落とす必要があり、通常の仕上げよりも時間がかかります。
しかし、最近入社したスタッフは「色を剥がす作業がとても楽しい」と今回も一生懸命磨いていました。無着色のクリア塗装の依頼が入った際は彼女が専任スタッフになりそうです。
今回K様が選ばれた生地は、1902年にアメリカ ニューヨークで創業した老舗のテキスタイルブランド、maharam社のMerit(メリット)という立体的な表情が特徴の生地です。
異なる太さの糸を使って編み込まれており、太糸と細糸のコントラストによって粒のような模様が浮かび上がります。この模様が家具に奥行と柔らかな印象を与えてくれます。
家具の修理は悪い箇所を修理するだけではなく、現在のライフスタイルや部屋のイメージに合わせて、家具を蘇らせるチャンスです。
今回ご紹介させていただいたK様のように、ご実家などに思い入れの深い家具がある場合は、今の暮らしに引き継げないか、一度検討されてみてはいかがでしょうか。
【木部無着色クリア塗装修理 ご依頼時の注意点について】
今回のような木部塗装をご依頼いただく場合、いくつか注意いただきたい点がございます。
・関東の修理工場でのみ承りが可能です。
・塗料が木の奥まで染み込んでいると、木部を研磨しても色が落ちない可能性があります。
※今回のような濃い色からナチュラルな白木っぽい色にする修理をご希望される方は、イメージ通りの仕上がりにならないことがあります。