2024年1月15日

プロの生地選び

設計事務所の方から「知人から譲り受けたソファを張替えて事務所で使用したい」というご相談をいただきました。今回はこちらの張替えについてご紹介します。

建築のプロの方が生地を選ぶと、どんな仕上がりになるのだろう、とワクワクしながらお打合せに伺いました。 
最初は担当されている方のみでしたが、生地を広げてあれこれ検討をしているうちに、通りかかった所員の方々が次々に集まってこられ、いつしか皆さんで生地選びが始まりました。
その際、設計事務所代表の方が「自分の好みだけで選ばず、なぜその生地を選択したのか説明できるよう選びなさい」と話されていたのが、とても印象的でした。
自分が使うだけであれば自分の好みで選べばよいですが、プロとしてお客様に提案するのであれば、お客様に賛同していただくことも大切です。

暮らしの中で、センスが良いな、素敵だなと感じた時、それを人に説明しようとするとなかなか難しいのではないでしょうか。
プロに求められることは、その漠然としがちな「センスが良い・素敵」について、何が良いのか、どうしたらよいかをきちんと言語化し、お客様に伝えられること、そして理解や納得いただけるような提案が出来ることなのだと感じました。

最終的に選ばれた生地はこちら。パイル地の花模様の光沢と全体のやわらかなグラデーションが上品なベルギー製の生地です。ただおしゃれな感じにするのではなく、家具が積み重ねた歴史を大事にしたいという思いから、この生地を選ばれていました。

生地を剥がしてみるとフレームの状態非常によく、多少ある木部の傷は長年使われてきた証としてそのまま活かすとになりました


生地を縫い、張り上げていきます。

張替たソファは設計事務所の打ち合わせスペースに置かれました。

プロが選ぶ生地は単純に見た目が良いだけではなく、その良さが使う人の心にきちんと届いて伝わる、裏付けや理由があることがわかりました。
私もご提案する際に、ただ「お部屋に合うと思いますよ」だけではなく、もう一歩深くお客様に伝わる言葉を見つけられるようにしていこうと思います。

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