Hanaridge1は、ニセコ・花園スキー場から車で4分程の場所にできた一軒家タイプの宿泊施設です。大きく取られた窓からは、羊蹄山とニセコ連峰の壮大な景色を望むことができます。リカルド・トッサーニ・アーキテクチャーの糸田さんにお話を伺いました。
ニセコは、パウダースノーが特徴で、その雪を求めて世界中の人々が訪れるスキーリゾートとして有名になりました。近年では、ウィンターシーズンだけでなく、避暑地としてサマーシーズンも人気のエリアです。リカルド・トッサーニ・アーキテクチャーが関わってきた20年の間でも、ニセコは海外の文化を取り入れ、大きく変化してきたそうです。
2000年代ごろから、時差が少なく雪の質が良いニセコにオーストラリアから訪れる方が増え、彼らがコンドミニアムを建て不動産事業を始めたことがニセコの発展のはじまりだったそう。コンドミニアムは自宅のように過ごせる宿泊施設で、スキーの後は周辺の居酒屋でビールを飲んで楽しむなど、コンドミニアムを拠点として外へ出かけることが好まれ、その周辺地域も海外からの文化を取り入れながら熟成されてきました。
近年ではオーストラリアと同様に時差の少ない香港やアジアからの観光客も増え、スキーの後の時間の過ごし方も変化し、コンドミニアムよりも大きな一軒家に皆で集まるということにトレンドが移り変わってきているとのこと。
リカルド・トッサーニ・アーキテクチャーの建築は、敷地・気候・日照・文化などの合理的な側面を分析し、構築していくスタイル。例えば日本の住宅は、ゲストと自分たちが使うトイレは一緒だったり、扉を開けたら居間があったり、プライベートとパブリックの境界線が曖昧。西洋の文化で生活してきた方はまた異なる住宅の考え方を持つため、クライアントから直接的な要望が無くとも、文化的側面も理解し納得できるような提案を行っていきます。
その上で、日本のプロジェクトは日本のプロダクトや素材も使うことでそれぞれの文化を融合させ、素材やデザインは出来る限り本物であること・確立されたものを選ぶことを意識しているそう。Roundishアームチェアは、日本の数あるチェアの中でも、イタリアのブランドの真鍮の照明に合わせても相性が良く、洗練され確立されたデザインであったことが選ばれたポイントだったそうです。
ボリューム感のあるRoundishアームチェアは、ゆったりと大きなミズナラのテーブルを囲んでいます。象徴的なアートやカウンターテーブルなども、それぞれが力強いものですが、不思議と上手く融合しあい、居心地の良いラグジュアリーな空間になっています。
建築は、シンプルで機能的ながら整然としすぎず、細部は少しクラフト感のあるデザインやソリッドな素材自体がアクセントになっています。
Hanaridge1は、同じ屋根の下で家族が集まるという休日の過ごし方の豊かさを味わってほしい、という想いのもと建てられました。
日本でも、地方では特別な休日には数世帯が同じ場所に集まり一緒に食事をして過ごしますが、住宅の様式が変わり、家族の形も変わり、家族や親族で集まる機会が少なくなっています。
「家族の時間を大事にするという価値観は、特別ではないことではあるけれど、海外の方に改めて学ばされることも多い」と糸田さん。
スキーの後、雄大な自然を感じながら同じ屋根の下で大きなテーブルを囲んで、暖かく楽しく食事や会話を楽しむ、そんな大切な時間を過ごしていただきたいです。
納品先 Hanaridge1
044-0082 北海道虻田郡倶知安町岩尾別267-4
http://www.hanaridge.com/
設計 Riccardo Tossani Architecture(リカルド・トッサーニ・アーキテクチャー)
https://tossani.com